見守ってる。のは販売数(@標本調査)
興行収入を見守りたい!さんの公開データより、週末の基礎情報について整理しました
(*標本調査ですので、実際の販売数ではありません。あくまで参考値です)
イメージとしては、
A + A' + B = 実際の販売数 (動員数)
となります。ここで
A: 取得館における上映 25分前 or 10分前* までの販売数 (見守りたい!さんのサイト値)
A': 取得館におけるデータ取得締切後 (上映直前) の販売数
B: 調査対象外の上映館における販売数
です。A' と B が、見守りたい!さんのサイトで捕捉できていない販売数です。
(*MOVIX 系とUNITED 系が 2017年1月24日から 25分前->10分前に仕様変更の模様)
実際の販売数データ (動員数) は興行通信社さんが日単位で出しているようなので、このデータから捕捉率が計算できます。
捕捉率 = A / 実際の販売数
データの捕捉状況が変わらないという仮定のもとで、見守りたい!さんの販売数に捕捉率の逆数をかければ、実際の販売数のおおまかな値を予想することができます。
『この世界の片隅に』はいわゆる単館系劇場のチカラで B の影響が他の映画に比べて
大きい (取得率が低い) ことから、捕捉率の逆数も他の作品より大きくなっています。
そのため、見守りたい!さんのサイトのランキングより、興行通信社さんのランキングの方が
順位が高めになる傾向があります。
A' の効果がどの程度あるのかは未知数で、ブログ主にとっても注目の課題です。
見守りたい!さんのサイトでは 95分 (110分) 間販売率という指標を 2017年1月より導入し、
プロキシ化をはじめています。
表1: 上映館数・データ取得関数・取得率 等
計上週末 | 週数 | (a)上映館数 (土日平均) | (b)データ取得館数 (土日平均) | (c)調査対象外上映館数 (a–b) | (d)データ取得率 (=d/e) (%) |
---|---|---|---|---|---|
2016/11/12to23 | 1 | 63 | 42 | 21 | 66.7 |
2016/11/19to20 | 2 | 68 | 45 | 23 | 66.2 |
2016/11/26to27 | 3 | 82 | 55.5 | 26.5 | 67.7 |
2016/12/03to04 | 4 | 84.5 | 56.5 | 28 | 68.3 |
2016/12/10to11 | 5 | 90 | 55.5 | 34.5 | 61.7 |
2016/12/17to18 | 6 | 93.5 | 57.5 | 36 | 61.5 |
2016/12/24to25 | 7 | 103.5 | 57.5 | 46 | 55.6 |
2016/12/31to01 | 8 | 115.5 | 60 | 55.5 | 51.9 |
2017/01/07to08 | 9 | 173 | 96 | 77 | 55.5 |
2017/01/14to15 | 10 | 189 | 102 | 87 | 54.0 |
2017/01/21to22 | 11 | 187 | 109 | 78 | 58.3 |
2017/01/28to29 | 12 | 202.5 | 111 | 91.5 | 54.8 |
60館規模からのスタートとはよく知られるところですが、総上映館数は徐々に増加しているのに
対して、データを取得している館数は 3 週目から7週目までそれほど変化していません。
そのため、取得率は 7週目で約 56% まで低下しており、本データによって把握できている販売数と実際の販売数のずれは大きくなる傾向にあると考えられます。
なお、9週目から取得関数は増えましたが、調査対象外の上映館も増加したため、12週目まで取得率の水準は大きく変わってはいません。
(なお、データを取得していない映画館の規模、上映回数等は、取得映画館のそれらとは大きく異なると考えられるため、把握できた販売数を取得率で割っても実際の販売数とはならない可能性が極めて高いです。
→ 例:✖️ 取得率が 50% だから、実際の販売数は データ取得販売数の 2倍)
表2: 座席数・販売数 等
計上週末 | 週数 | (a) 土日 販売数 | (b) 土日座席数 | (c) 上映回数 | (d) 平均取得館数 | (e) 1館 あたり 1日上映回数 | (f) 販売数先週比(%) | (g)座席数 先週比(%) | (h)販売数 /座席数(=a/b)(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016/11/12to13 | 1 | 14237 | 67678 | 355 | 42 | 4.2 | - | - | 21.0 |
2016/11/19to20 | 2 | 19297 | 66496 | 346 | 45 | 3.8 | 135.5 | 98.25 | 29.0 |
2016/11/26to27 | 3 | 22813 | 60067 | 369 | 56 | 3.3 | 118.2 | 90.33 | 38.0 |
2016/12/03to04 | 4 | 23202 | 75401 | 408 | 57 | 3.6 | 101.7 | 125.53 | 30.8 |
2016/12/10to11 | 5 | 23649 | 59242 | 389 | 57.5 | 3.4 | 101.9 | 78.57 | 39.9 |
2016/12/17to18 | 6 | 13873 | 35741 | 275 | 58 | 2.4 | 58.7 | 60.33 | 38.8 |
2016/12/24to25 | 7 | 12763 | 33931 | 220 | 59 | 1.9 | 92.0 | 94.94 | 37.6 |
2016/12/31to01 | 8 | 14610 | 51581 | 323 | 62 | 2.6 | 114.5 | 152.02 | 28.3 |
2017/01/07to08 | 9 | 23745 | 104868 | 549 | 96.5 | 2.8 | 162.5 | 203.31 | 22.6 |
2017/01/14to15 | 10 | 30839 | 130497 | 645 | 102 | 3.2 | 129.9 | 124.44 | 23.6 |
2017/01/21to22 | 11 | 33058 | 132555 | 584 | 109 | 2.7 | 107.2 | 101.58 | 24.9 |
2017/01/28to29 | 12 | 24280 | 92535 | 452 | 111 | 2.0 | 73.4 | 69.81 | 26.2 |
6 週目の販売数先週比 (f: 58.7%) と座席数先週比 (g: 60.3%) の値は概ね同じです。
したがって、6週目の販売数の減少は、累積座席数の減少が理由になっていると考えられます。
(座席を 4割減らしたら、販売数も 4割減った)
この累積座席数の減少は、上映回数の削減 (1日3〜4回 → 2〜3回) によるものでしょう。
9週目はイオンシネマ30館新規公開などの大規模拡大のため、座席数がほぼ倍に増えました。ただし販売数はそこまで増えておらず、(h) の値は 25% 前後で推移しています。これは、イオンシネマ系の地域差が大きいためとブログ主は考えていますが、確認できる詳細なデータは残念ながらブログ主にはありません。
12週目は多くの新作が公開されたため、座席数は約3割減少しました。しかし、販売数は 30%までは落ち込んでいません*。この週はポストカード第三弾の配布がありました。
*特に土曜日は座席数約3割減に対し、販売数は約 25%減で止まっていました。ポストカードは一応土曜日限定配布
販売数/座席数 (h) は、この推定方法ですと地域・時間等の偏り、データ取得からの漏れなどを
全く考慮しないので、ツイッターなどで多数報告されているように「ある映画館で満席であること」と、
「この値が 100% にならないこと」は矛盾しません。
- そもそも調査外の映画館での出来事という可能性
- 都市部、地方などの地域差
- 上映時間帯 (レイトショーなど) による差
- データ取得館における「上映25分前集計値」と「最終的な販売数」の差
などを考える必要があるでしょう。